会話がちょっと怪しいです。
でもそういうシーンはまったくありませんので!
気になる方、嫌な方はお戻りください。
大丈夫な方は↓へどうぞ。
「んっ…うあ…」
「なんだよその声」
「だ、だって…んっ」
「どした」
「ひ、日番谷くんっ、…んあっ」
「おい、逃げんなっつの」
「ご、ごめん…」
乱菊が珍しく自分から書類を届けに行った帰り。
執務室に入ろうと思ったら、部屋から怪しい声が聞こえてきた。
その声から日番谷と雛森だと分かったが、その会話の内容が…。
こちらの霊圧に気づいているはずの隊長は、まったく気にしていない。
いきなり人が入ってきたらどうするのだろう。
いや、していることが何なのかは分からないが。
余裕を保つふりをしつつも、乱菊は内心あせっていた。
こんなことは初めてで、どうすればいいのか分からない。
とりあえず戸に耳をあて、二人の会話を聞いていた。
(…これって盗み聞きよね)
「…痛いっ」
「我慢しろ」
「うう…酷い」
普通に入ってみるべきか。まだそんな関係ではないはず…。
しかし入って今自分が想像している状況だったら…自分の身が危ない。
素直に他の隊舎に避難するべきか。
一人戸の前で悩んでいると、後ろからいきなり声をかけられた。
「…乱菊さん?」
「…!」
不意に声をかけられ思わず大声を出してしまいそうになったが、今の自分の状況を思い出しなんとかこらえる。
声をかけてきたのは、恋次だった。吉良も一緒に居る。
「…どうしたのよあんたたち?」
あくまで小声で尋ねる。
不審な行動をとっている乱菊に恋次は不思議そうな顔をして、首をかしげた。
恋次は何があったのかは分からなかったが、とりあえず乱菊のように声を小さくして答えた。
「いや、雛森探してるんすけど…」
「雛森?」
「五番隊に行ったら、十番隊って言われたんスよ」
「まあ…いると思うけど…どしたの?」
「久しぶりに、3人で茶でも飲みに行かねーかって。こいつが」
指を指されて、吉良があせって反論する。
吉良の顔は少し赤くなり、乱菊は分かりやすいヤツねえ…と呟いた。
「えっ?ちょっ、ちょっと阿散井君…!僕は」
「それより、乱菊さんは何してるんスか?」
吉良の話をさえぎり尋ねてきた恋次に、乱菊は無言で戸を指差す。
とりあえず恋次は戸に近づき、先ほどの乱菊と同じように、耳を当ててみた。
吉良も不思議そうな顔をしながら、恋次と同じことをした。
その瞬間、聞こえてきたのは。
「んっ…や、そこはだめ…」
「は?気持ち良いだろ」
「ん…でも…」
「もっとやるか?」
「や、もう、無理ぃー!」
「…仕方ねえなあ」
耳を当ててから数秒。
恋次は真っ赤な顔で、吉良は真っ青な顔で。
ものすごい速さで乱菊の方を振り返った。
「ちょ、なんなんすか!?」
「ひ、雛森君が…」
「なにやってんですか執務室で!」
「止めてきてくださいよう乱菊さん!」
次々と質問してくる二人に、乱菊はとりあえず落ち着きなさい、と控えめにだが強く言った。
自分だって、よく分からないのに質問されても答えられるはずがない。
いつから二人がこんな関係になったのか。
報告をされたりはするわけがないが、そうなれば雰囲気などで分かると乱菊は思っていたのに。
二人ともびっくりはしていたが、恋次はそれほどショックを受けてはいなかった。
問題は、密かに雛森を思っている(周りにはばれているが)吉良だ。
よほどショックだったのか、何を想像してしまったのか。
顔を真っ青にして、ぶつぶつと何か呟いている。
恋次はいつものように慰めようと思ったが、何が起こっているのかわからないのでそれも出来ない。
「何をやってるかは、残念だけど分からないのよねえ」
「…止めなくていいんですか?仕事中じゃ…」
「…あんたは入っていけるの?もし本当に最中だったら…」
「だったら…?」
「即、謎の凍傷で四番隊いきでしょうね」
「…うっ」
「まあ、行きたいんだったら行ってもいいわよ」
「いえ、遠慮しときます! …それで、どうするんですか?」
「そうよねえ…もう少し、聞いちゃおうか」
「「え…?」」
後で日番谷に知られたらどうなることか…そう思いながらも、恋次も乱菊も戸に耳を近づけ話を聞こうとした。
吉良はまだなにかぶつぶつと呟いている。
(吉良、なんか危ねえなあ…)
恋次は一応友人を心配するが、それよりも今は中の二人が気になった。
耳を当てると、また日番谷と雛森の声が聞こえてきた。
「んっ…!」
「痛いか?」
「痛いよう…」
「力抜けって」
「う、うん…」
気が付けば、三人が戸に耳をしっかりと当て、部屋から聞こえる声に聞き入っている。
中が怪しいのはもっともだが、三人もなかなかだった。
通り過ぎる隊員がひそひそと不審がっている声が聞こえるのは、きっと気のせいではない。
「…へ?」
雛森の呆けたような声で、それまで続いていた会話が途切れた。
何だ、と三人は更に戸に耳を押し付けた。
…数秒後。
日番谷たちの居る部屋と乱菊たちが居たところを遮っていた戸が、ガラッと大きな音を立てて開いた。
戸に体重をかけていた三人は、自然に…
「えっ!?」
「うおっ!」
「うわあっ!」
そのまま部屋に倒れこんだ。
日番谷の怒鳴り声を覚悟した乱菊が、そろそろと顔を上げた。
しかし、日番谷の声は聞こえてこない。
日番谷は、ただあきれたような顔で乱菊たち三人を見ていた。
「あれ?隊長…?」
「なんだ?そんなとこで何やってんだよ」
「いや、あの…」
そこで乱菊は、今までの会話を思い出し、とりあえず、と急いで雛森を目で探した。
雛森はソファーにのんびりと座っていて、お茶菓子をつまんでいる。
いつものようににこにこと笑って、可笑しそうに「どうしたんですか?」と声をかけてきた。
何かあったようには見えない。しかし、雛森を良く見ると、少し衣服が乱れているのが分かった。
「あれー?」
さっきのは何だったのだ。どっちだ…?
疑問に思ったのは恋次と吉良も同じようだが、とりあえずそこに触れないようにしたらしかった。
よほど四番隊には行きたくないらしい。
とりあえず本来の目的を思い出したらしい阿散井は、雛森に声をかける。
「あ、そーだ雛森!」
「なあに?阿散井くん」
「い、一緒に茶でもどうだ?」
「お茶?」
「おお、今日、後暇だろ?行こうぜ」
阿散井の声は雛森を急かしているようだった。
あ、いいねえ…と雛森が言ったとたん、、
「じゃ行くぞ!」
といって急いで歩き出した。
吉良の腕をつかみ、失礼しましたあ!と言って高速で部屋を出て行った。
雛森も、え?と首を傾げてから後を追って行った。
「じゃあね!失礼しました」
急ぎながらも挨拶を忘れないのが雛森らしい。
部屋に残ったのは、不信そうに乱菊を見る日番谷と、途方にくれる乱菊のみ。
(逃げやがったわねあいつら…)
乱菊はあたしも一緒に逃げればよかった、と後悔したが、すでに遅かった。
沈黙の中で、雛森もかわいそうに…阿散井に問い詰められるであろう雛森に同情したが、、あたしの方が可哀想か。
とすぐに考えを変えた。
日番谷がこちらをじとっと見ている。
説明しろ、と目で言っているのが分かった。
「ううっ…!」
結局最初から最後まで説明させられた後、馬鹿か。とばっさ切り捨てられた。
確かに考えすぎだったとは思うが、あの声は怪しすぎたのだ。
あの雛森の声が紛らわしいんですよ!と頑張って反論したものの。
問答無用。まさしくそんな感じで、更に書類を増やされた。
(あー、ついてないわねえ…)
いつまでたっても減らない書類と格闘しながら、乱菊は馬鹿な想像をしてしまった自分を恨むのだった。
「…隊長」
「なんだ」
「結局、雛森と何してたんですか?」
「…書類増やされたいのか」
「すいません忘れてください………後で雛森に聞きます」
「これ追加な」
「ええっ!?」
「自業自得じゃねえの?」
「…ごもっともで」
その後。→■
…ありがちですね(汗
でもやってみたかったんです!日番谷と雛森が付き合い始めたばっかり…ですよ!
この後、雛森は阿散井に問い詰められて、あっさり話します。
まあ結局…うん。
←