※注
・BLです。
・嫌いな方、苦手な方はこちらからお戻りください。
がたん。
戸の向こう側で物音がした。
こんな時間になんのようだ、と阿近は顔をしかめて戸へ向かった。
仕事を片付けそろそろ寝よう、そう思っていた矢先である。
どすどすと足音を立ててガラッと戸を開け、相手を確認せず思いっきりにらみつけた。
もし上司だったらとんでもないことだが、眠い頭には睡眠を邪魔される、ということしかなかった。
見ると吉良が、顔を赤くしてそこに立っていた。
どうやら近くで宴会でもしていたようで、酒の匂いがあたりに漂う。
「…なんだ」
思いがけず低い声が出た。吉良は阿近の機嫌の悪さに驚いたのか、一瞬びくりと震えた。
少し悪いと思ったが眠いのだから仕方が無い。人相が悪いのはもとからだ。
目を伏せて申し訳無さそうにしながら、これ…と指差したのは、吉良の肩を借りてぐったりとしている修兵だった。
こちらも相当酔っているようで、目を閉じたままぴくりともしない。
まあ修兵たちが宴会を開いてつぶれるのはよくあることだ。
そこまで酒に強くもないのに、加減せずに飲みまくるから。
「なんで此処に…」
「…こっちの方が近かったんです」
今日修兵たちが飲み会をしていた場所からは、九番隊の隊舎よりも阿近の寝舎のほうが近かったらしい。
酔っている上、大柄でも特別力があるわけでもない吉良が、人一人を抱えてそんなに歩くのは大変だろう。
修兵が起きていればまだ楽だっただろうが、もうすっかり寝てしまっている。
此処までくるときも、引きずってきちゃって。苦笑しながら吉良はそう言って、自分の肩から修兵の腕をはずした。
支えを失い、重力に従いそのままぐたっと床に転がった。
頭が床についたとき、ごんっといい音がした。
結構な衝撃だったと思うが、それでも修兵は目を覚まさない。
「じゃ、お願いしますね!」
荷物(修兵)を任せどこかすっきりした顔で吉良は、それでは。と別れを告げた。
酔っ払いを押し付けて帰ろうとした吉良をひきとめようとしたが、ふらふらとしながら足取りが危ういのを見て止めた。
阿近ははあ、と小さくため息をついてから、床に転がっている修兵をみた。
規則的な寝息を立てている修兵は、しばらく起きそうにない。
持ち上げるのも面倒くさいので、ずるずると引きずってとりあえず部屋に入れる。
自室まで送ってやる気はなかった。そこまで親切ではないし、とにかく眠い。
「おい、修兵」
声をかけても一向に起きる気配の無い修兵に、だんだんいらいらしてきた。
ただでさえ眠いときに、酔っ払いの世話を無理矢理押し付けられて。
完璧酔ってしまっているかれは、心置きなく爆睡している。
思いっきり乱暴にからだをゆすっても、変化なし。
「…ったく」
もうこのまま放っておくか、そう思ったとき、修兵の体がぴくりと動いた。
足でげしっとけると、「ぐえっ」というつぶれた声が聞こえた。
その後修兵はもぞもぞと動き、顔をゆっくり上げた。
酔っているためか寝ぼけているためか、目の焦点が合っていない。
「…阿近さん」
阿近を視界に入れた後、修兵はへにゃっと笑った。
まだ半分寝ているような状態で、ぼんやりとしている。
(何で笑うんだよ…)
ぼんやりとしている修兵に水を汲んでもってきてやり、飲め。と手渡した。
そのままごくごくと水を飲み始めた修兵を、阿近はあきれぎみにじっと見ていた。
早く酔いを醒まさせて、隊舎に返して。さっさと眠ろう。
水を飲み終わった修兵が、阿近の視線に気づいた。
不思議そうに首を傾げた後、何か思いついたように一度動きを止めた。
何を思ったのか、にかっと笑って近づいてくる修兵に、思わず一歩後ずさった。
「阿近さーん」
「…何だ」
「えへへー」
修兵は笑ったまま、思いっきり阿近に抱きついた。
いつまで酔ってんだ。そう思いながらも、振り払うことはしない。
ああもうだめだ、とあきらめながら阿近は明日のことを考えた。
明日は急ぎの仕事はなかったはず、と適当に誤魔化して、目の前の現実を見た。
我慢するのもそろそろ限界。眠気もすっかり覚めた。
(…こいつが酔ってんのが悪い)
「お前のせいだからな」
相変わらずへらへらと笑っている修兵に軽く口付けた。
夜は長い。
「…阿近さん!なんで俺ここに!?」
「吉良が連れてきた」
「しかも、何でこんな…」
「お前が誘ってきたのが悪い」
「うそー!?」
「本当」
「てゆうか、今何時ですか!?」
「定例集会の5分前」
「へっ?何で起こしてくれないんですか!!!」
「知るか」
「うう…」
ちょっとエロくしようと思ったけど、私には無理でした(泣)
やっぱBLは難しい…(汗
…阿近さんが大好きです!!!
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